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来るべき社会問題 ショッピングモールの撤退について

ピエリ守山というショッピングモールがやばいという話は以前からちらほらとネット上でも囁かれていたのだけれど、先週あたりからにわかに話題になった。もう食傷気味なのでリンクは省略。

なぜピエリ守山がそんな状況になったのかということについてはいろいろと言われているようだが、やはり近隣にもっと大きなショッピングモール、イオンモール草津がオープンしたからというのが大きいようだ。

ある商圏の中で、巨大なショッピングモール二つの共存は難しいというのは想像に難くないところだが、ひとつのショッピングモールが大きな商圏を押さえてしまうということは、地域にとってはメリットともに、かなり大きなリスクを抱え込むことになる。その最悪の事態は、ショッピングモールの撤退だ。

同じような懸念をしている人はいないかとググってみたところ、興味深い記事を見つけた。

イオンの撤退に揺れる地方都市 本格化する郊外SCの淘汰!|Close Up|ダイヤモンド・オンライン

上の記事は古く、2008年11月25日のものである。ピエリ守山のオープンが2008年9月、おもしろいことに、イオンモール草津のオープンが、その次の日の11月26日ということで、5年後の現在から見ると、かなり心配するところを間違った杞憂記事になっている。なお、記事中にあるイオンモール三川は現在も営業中のようだ。

しかし、ショッピングモールの撤退という事態が、地域にとっての大きなリスクであるという指摘そのものは、守山、草津の話ではないが、正しいように思える。ショッピングモールという建築は、耐久性に関してそれほど大きな関心を払っているようには見えないし、初期投資をできるだけ抑えて、なるべく早く投資額を回収することに主眼が置かれていると思われる。

再投資して継続するか、撤退するかの判断をする時期が必ずくるはずであり、それが初期投資を回収できた時か、借地契約が切れた時か、建築物の耐久性能が要求を満たさなくなった時か、あるいはテナント入居率が下がってきた時かはわからないが、ビジネスの観点からすると、撤退という可能性はかなりの重みをもって検討されるのではないかと想像される。

上の記事で書かれた懸念は、2008年には大きな問題にはならなかったが、いずれやってくるはずの社会問題であり、地方自治体がそれへの備えを万全にしているという話は、あまり聞かないところである。もちろん、ショッピングモールの経営主体も、継続か撤退かの決断においてCSR(企業の社会的責任)を意識しないことはないだろうが、それにすがるというのは、都市計画のあり方としてあまりに脆弱だと言わざるを得ない。


東京オリンピックの話もあって、地方の衰退という話題もよく出るようになっていると感じるが、実際の地方の衰退というのが、どういう形で起っていくのか、私自身いまいちリアリティをもって想像できていない。ショッピングモールの撤退というのは、いくつかのありそうなシナリオのうち、最もドラスティックな形で起る「衰退」だと思う。

たとえは悪いが、ほうきで埃を集めてちりとりで取るように、巨大ショッピングモールが広大な地域の商業経済を集約して、その後いっきに撤退するといのは、それはそれで、じわじわと衰退していくよりはコントロールしやすいような気もしている。

しかし、ショッピングモールの商圏にまるごと飲みこまれてしまっている地方自治体が、そのコントロールを行う主体として機能することは不可能である。もし、ショッピングモールの撤退を、地域そのものの撤退と重ねて計画的に実行するというようなことを考えるのであれば、今のうちに議論を始めなければならないのだろう。