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それって、大賛成しちゃっていいの?

例のお方の話なんですがね。

このお方が労働法よくわかってないとか、さらには統計までわかってないから平均値が上限値を下回ってるからおkみたいな面白いこと言っちゃってるとか、それはそれでアレなのですが、あえて久しぶりにブログを書くネタとしては、例のお方が、ブラック企業の企業名を公表するなどの動きに大賛成であるところに注目したい。

いやね、心情としてはわかるんですよ。見せしめに吊るしあげて釜ゆでにしてトロッと煮込んでシチューにして引きまわしてやりたいという気持ちは。ぼくもそういう気持ちですし、なんかそんなこと前にどっかで書いちゃった気もするし。

でもさ、そうやってブラック企業の名前を公表したりしちゃう目的って、その会社にお勤めの従業員、労働者を守るためですよね?いちおう。

しかし、名前を公表しちゃったら、おそらくその会社は、取引先からお付き合いをお断りされたり、銀行がお金貸してくれなくなったり、不売運動が起ったりして、経営が傾きますよね。悪くすると、つぶれちゃうかもしれない。会社がつぶれちゃったら、そこにお勤めの方たちは当然、路頭に迷うわけであって。

もともと、労働者を守るためにやったことが、結局のところ労働者を苛酷な環境に追い込む、という矛盾が生じるわけで、だからこそ、こういうことは議論されているものの、まだ結論に至ってないということだろうと思うのですが、それに大賛成しちゃうセンスそのものが、もうなんというか、あれであれなわけですよ。

そう考えると、名前を公表するだけじゃなく、労基署が入って、何らかの罰を与えることもまた、けっこう危険なことだったりするんじゃないかと思うわけです。例の会社みたいに、労働力がそのまま経営資源のほとんどを占めちゃうようなとこだと、建設現場の臨検で足場を直させるのと違って、是正指示に従ったら経営が傾いちゃうようなことも、ひょっとしたらあり得るんじゃないか、と。

是正のために膨大な人件費の増加があって、会社がつぶれちゃって、その会社の従業員が、逆恨み(とは言わないか)で国に損害賠償を求めてきたなんて話になったら、このままうまくいけば本省でいいポストにつけたかもしれない労働基準監督官の経歴にキズをつけちゃうかもしれない。

なんて下衆の勘ぐりは置いておくとしても、労働者を守るはずが、逆に傷つけることになりかねない、というところは、労働法の取り締まりの難しいところなんじゃないかと。

つまるところ、労働法は罰則を設けてはいるものの、その罰は経営者だけはなく、法の趣旨では守るべきところの労働者をも罰してしまうことになりかねず、罰則によって法を守らせるというメカニズムそのものが機能しないのではないか。ブラック企業が減らない理由のひとつには、そういうこともあるんじゃないかと思ったりするわけであります。

まあ、ただ単に労基署がさぼってる可能性も、ゼロではないんですけどね。