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第2回PROPSプロトーク感想

12月9日に開催された第2回PROPSプロトーク。
第2回 2012年12月9日 (日) 「開発・オペレーション」 | PROPS プロトーク
PROPSプロトーク第2回 「開発・オペレーション」 - Togetter
本当は会場に行くつもりだったのだけど、子どもたちがノロウィルス(?)にかかってしまい、私も感染してるかもしれないという中で、皆さまに伝染してはいけないということになり、家でニコ生の中継を見ていた。ニコ生やまとめを見ながら考えたことをtwitterでぽろぽろとつぶやいていたのだけれど、あまりにとっちらかったものになってしまったので、ここにまとめて書いておこうと思う。

第2回PROPSプロトークのテーマは「開発・オペレーション」。マイナーなテーマだと思う。

開発のプロジェクトでは、大きな額のカネが動く。そこには、さまざまな思惑を持った人たちが群がってくる。

持っている土地を高く売りたい。どうやったら高く売れるか情報を提供し、その見返りが欲しい。土地を買って建物を建て、床面積を増やして恒久的に賃料を得たい。人の流れを増やして交通機関から運賃を得たい。その沿線に持っている土地の価値を上げたい。土地の造成、建物の建築工事を受注したい。あるいは、生活環境の利便性を上げたいなど。などなどなどなど。

思惑、手法は千差万別であるのだから、それぞれのプレーヤーに、その思惑、手法を表す名前が付いていればいいのだけれど、地権者や住民を除くほとんどのプレーヤーには、「デベロッパー」とか「コンサルタント」など、どういう思惑でここにいるのか、どういう手法でものごとを進めるのか判別できない名札が付けられている。これが、開発というものを、わかりにくく、語りにくいものにしているのだと思う。

一方、このわかりにくい、漢字で表される「開発」に似て非なるものに、ひらがなで書く「まちづくり」がある。「ひらがなのまちづくり」の登場人物は少ない。困っているまちの人と、まちの外からやってきた、「笛吹き男」だ。

困っているまちの人のところに、「笛吹き男」がまちの外からやってきて、どうしたのですか?とたずねる。ネズミが多くて困るという、まちの人たちの悩みを聞いた男は、笛を吹いて解決する。

成功報酬を出し渋った町の人に怒った「笛吹き男」が、笛を吹いてまちの子どもたちを連れ去ってしまう、というところまで語られることはほとんどないものの、「ひらがなのまちづくり」のストーリーは、グリム童話で有名な「ハーメルンの笛吹き男」のそれとおおむね合致する。

「ひらがなのまちづくり」については、これまで数多くのエピソードが紹介されてきており、さまざまな土地に「笛吹き男」は現れ、笛を吹いていることはわかっている。しかし、ピエロのような格好をして、笛を吹いただけでネズミや子どもを操る「笛吹き男」の思惑や手法は、いくらエピソードを重ねても、いまいちはっきりとしてこない、というのが私の感じるところである。

第2回PROPSプロトークの登壇者の一人である藤村龍至氏が、まさに「笛吹き男」というべきストーリーを演じたのが、鶴ヶ島プロジェクトであり、渋谷で行われた展示会を、わたしも最終日に見に行ってきた。
8/01/COURT/公共建築から考えるソーシャルデザイン・鶴ヶ島プロジェクト2012

しかし、典型的な「笛吹き男モデル」である鶴ヶ島プロジェクトが、従来の「ひらがなのまちづくり」と大きく異なる点が一つある。それは、笛を吹く学生たちに、プランナー、作家、技術者という、思惑と手法を備えた役を与えたというところだ。

それぞれに与えられた思惑と手法が、計画案に特徴的な傾向をもたらすこと。それらの競争あるいは重ね合わせにより、それぞれは「笛吹き男モデル」「ひらがなのまちづくり」であるものが、複層的に「漢字の開発」の様相を呈することが確認できれば、現実に行われている複雑に入り組んだ「漢字の開発」を要素的に分解し、展示会の場で視覚的にその構造を認識できるはずだった。実務経験のない学生さんに、プランナー、作家、技術者といった役を演じ切れというのは酷な話だったとは思うが、設計課題として非常におもしろい試みだと思う。

第2回PROPSは、こうした藤村氏の関心を軸に、「ひらがなのまちづくり」のエピソード紹介に陥ることなく、「漢字の開発」についてのトークを続けたという点で、これまでのイベントと一線を画するのだと思う。わかりにくい「漢字の開発」をわかりにくいまま扱ったために、途中やはりわかりにくいところが多々生じてしまったとしても、だ。

開発に留まらず、建設・不動産の業界では、さまざまな思惑を持った人間が、さまざまな手法で丁々発止のやりとりをみせているところに、おもしろさがある。今後も続いていくPROPSでは、それぞれの思惑、手法の違うところ、あるいは同じところを明らかにしつつ、複雑な業界のあり様がほんの少し解きほぐされる、そんな展開を期待している。