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2度目に観る「巨神兵東京に現わる」を10倍楽しむために知っておくべきこと

タイトルはパクリです。パクリ元。タイトルで2度目に観ると明記したのは、ネタバレ要素が含まれるからですよー。

知っておいていただきたいのは、ビルの構造。日本のビル、特にオフィスビルは、ほとんどが鉄骨でできている鉄骨造です。あ、下の動画の冒頭に出てくるイメージですね。なんか腕組んで座ってる緑の人は無視してください。

鉄骨というのはもちろん鋼鉄でできていますから、温度が高くなると溶けてしまいます。大体300℃くらいから強度が低下し始めて、600〜700℃くらいになると、座屈といって、柱が膝カックンのように曲がってしまうと言われています。日本のビルの多くは鉄骨造、つまり骨組みが鉄骨でできており、建物自体の重さや、中に入っている人や家具を支え、地震の時の衝撃に耐えるのは、主にこの鉄骨になります。

一方、ビルに使われているもう一つの主な材料としては、コンクリートがあります。こちらは熱に比較的強くて、もちろん300℃を超えると強度が低下したり、変形が大きくなったりするのですが、鉄のように溶けてしまうのはだいたい1200℃、しかもそれなりに長い時間熱を加えなければ溶けることはないと言われています。オフィスビルでコンクリートが使われる部分は主に地下になるのですが、地上部分で使われているコンクリートは主なところで床、それ以外にも外壁がコンクリート製であるものが多くあります。多くのオフィスビルの外壁は、カーテンウォールといって、その名の通りカーテンのように吊るされているだけで、建物を支える骨組ではありません。

整理すると、いわゆるビル、特にこの映画に出てくるちょっと昔のビルというものは、柱や梁といった骨組みが鉄骨でできていて、それに引っかけるようにコンクリート製の外壁が吊るされているんだ、と思っておいてください。ここまでよろしいでしょうか。

じゃあ、このビルに巨神兵が熱線を放つとどうなるか。

そう、中の骨組みが先に溶けてしまって、外壁のコンクリート部分は残るはず。

骨抜きになって皮だけで建っているビル、そしてそこからバランスを崩して倒壊していく様子がどのように描かれているか。

どうせエヴァを2回3回と観るつもりであるなら、同時上映の「巨神兵東京に現る」も2回3回と観ることになるわけですから、次回ご覧になる際には新たな目線で観ると、10倍までいくかどうかはわかりませんが、楽しめると思います。




さて、余談です。当たり前ですが、巨神兵のビームのように、一瞬でビル全体が高温になるというようなことは、実際にはなかなか起りません。しかしながら、2001年、NYのワールドトレードセンターを襲った悲劇では、実際にビル全体が高温にさらされ倒壊したわけで、この映画にも大きな影響を与えていると勝手に思っております。もっとも、WTCのツインタワーはカーテンウォールではなく、チューブ構造といって外壁も建物を支える構造の一部として機能していたと聞いていますので、日本のビルとは構造がだいぶ異なります。したがって、壊れるときの様子も、日本のビルとはかなり違うんじゃないかと想像しています。

とはいえ、同じワールドトレードセンターの7号棟、旧7WTCの崩壊の様子は、巨神兵の映画で大いに参考にされたのではないかと推察します。というのも、旧7WTCは1WTC及び2WTCが倒壊した8時間後に突然崩壊しており、原因はツインタワー崩壊時の熱、それだけだと言われています。巨神兵のビームがその性質上どのようなものなのかは分かりませんが、もし純粋に熱だけを与えるものなのだとしたら、多くのビルが7WTCと似たような崩壊のしかたをするのではないかと思います。

「楽しむ」と題したエントリで同時多発テロに触れるのはこのくらいにして。

もう一点。コンクリートは熱に強いと上述しましたが、巨神兵のビームのように急激に温度が上がった時にも大丈夫なのかと言われれば、かなり疑問です。コンクリートのなかには未水和の自由水・・・要するに水がいくらか残っていると思われ、これが高熱により一瞬で水蒸気になったときに、うまくコンクリートの外にその水蒸気が抜けていくのかどうか。本当にそれが一瞬で起るのであれば、水蒸気がうまく逃げ切れず、爆裂してしまうのではないかと思います。今回の映画はいにしえの特撮に倣い、東京タワー近辺が中心でしたが、もし鉄筋コンクリートでできている豊洲や東雲の超高層マンションを巨神兵が襲えば、熱線を浴びたマンションは大爆発して映画的には非常に派手なシーンになったと思うのですが、むしろリアルじゃないと言われてしまうかもしれませんね。

細かい描写を求めれば、熱線に近いところが温度が高く、遠ざかるにつれて温度が下がっていくので、建物の倒壊のしかたが変わっていくはずなので、この辺りが一つの画面に収まっていれば・・・というのは過大要求ですね。

まあ、不謹慎な話はこれくらいにして、新しい都知事には是非、巨神兵に強いまちづくりを推進していってもらいたいものです。