ぼくたちが知りたいのは、築○年じゃないんだ

建物って、なんで「築○年」みたいな言い方いつまでも続けてんだろ。ぼくたちが知りたいのは、あと何年住めるかなんだ。あと何十年、何百年住める家は、きっときれいで良い家なはず。

じゃあ、あと何年住めるか、ってのはどうしたらわかるの?専門家が鑑定する・・・それも一つの手だとは思うし、住宅性能表示制度ってそういうことなんだ。だけど、ここはもっとストレートにいこう。オーナーに直接、「何年後に壊すつもりなの?」って聞いちゃおう。

何年後に建物を壊すつもりかなんて、明らかにしてもメリットがないだろうって?メリットがないなら、作ればいいんだ。

宣言した年に取り壊せば最も経済的であるよう、税金をうまいこと調整する。建物の寿命を長め申告して寿命が来る前に取り壊しても、逆に短めに言っといてなかなか取り壊さなくても、ペ・ナ・ル・テ・ィ。嘘ついてもだーれも得しないよ。

建物をいつ壊すのかがわかれば、その年にむけて維持管理するわけだから、維持管理状態まで考慮した資産価値が割り出せる。寿命を長く申告した人は、大事に使って維持管理もきちんとしないと、その年まで建物がもたないよね。だから、長く寿命を申告してる建物は、維持管理もきちんとしてるんだろうと推測できる。この推測が成り立つから、現実の建物の資産価値に、維持管理状況を的確に反映することができるんだ。建物の売買価格、固定資産税の算出根拠としても、使えるはずだ。

いやいや、オーナーが建物を取り壊す年を明らかにするからといって、取り壊す年までずっとオーナーでいろというわけじゃないよ。売ればいい。売ったら、次のオーナーが新たにその建物の寿命を設定し直す。その年数が前のオーナーと同じならいいが、違う時には短く設定したほうにペナルティ、長く設定した方にボーナスかな。まあ、売買契約は自由だから、嫌なら売らなきゃいいんだけど。このルールのもとでどう動けば得か、っていう思考実験は、けっこう面白い。ズルするルートは他にもあるかもだけど、ちゃんとつぶそう。 建物をいつ壊すのか明らかにすることには、まだまだいろんなメリットがありそうなんだ。前回書いた、文化財の保護もそのひとつだ。

ゲームみたいだけど、プレイヤーは建物の寿命を自分で十分にコントロールできるはずだから、ギャンブル性はない。別にゲームに参加したくないオーナーは、今までどおり、建物の寿命=「無限」でもいいよ。そのかわり、寿命=無限といえるような維持管理をきちんとやらなきゃ、その維持管理状態に対して額面上の資産価値が高すぎて売れなくなっちゃう。固定資産税はめっちゃ高いし、いつか建物壊す時にはペナルティー。事実上の増税じゃないかという向きはほっとけばいいんじゃね?増税けっこう。財源 ゲットだぜ!

こういうこと、考えた人がこれまでいなかったはずはないんだ。でも、建物ひとつひとつに寿命データをくっつけるのは、昔はかなりの手間だったはず。でも、今はコンピューターの時代、そんなのわりと簡単でしょう?

僕が思うに、スクラップアンドビルドはなにがなんでも悪というわけじゃないんだ。無計画なスクラップこそがダメなんだ。スクラップするのがいつかわかっていれば、それにかかる費用も考えなきゃいけない。そして、誰がそれを負担するのかも。計画的であることは、無計画であるよりもずっとすばらしいことだと、僕は思う。

蛇足だけど、長期優良住宅とかほざいて、いつ、誰がその建物を壊すのかという問題から目をそらすのは愚策も愚策。国がそれを推進するなど言語道断だよ。

日本はこれまで、建物の寿命が人間よりも短かい国だった。これからそれが逆転して、建物の寿命が人間よりも長い国になっていくのだから、それに応じた制度の見直しが必要。僕たちの文化は、長い間、建物の寿命は人間よりも短い、という認識のもとに出来上がってきたものなんだ。建物の寿命が人間よりも長い時間がすごく長かった国の文化をそのままカンニングしようとしても、うまくはいかないよ。