せっかくだから、もうちょっとコンクリートポンプ車について語っておく

コンクリートポンプ車がこれほど世の注目を浴びるということは、これまでも、そしてこれからもおそらくないでしょうから、ややフライング気味だった前回の記事への追記として、もう少しきちんと、基礎的なところからコンクリートポンプ車について説明しておこうと思います。というのも、新聞各紙の記事を見る限り、生コンというものがどうやって現場で打設*1されているのか、というのはあんまり知られていないようだと感じたからです。

ほとんどの建築現場ではコンクリートを、工場で水、セメント、骨材(砂利や砂とかです)などを工場のミキサで混ぜてから、レディーミクストコンクリート*2。として現場に持ってきます。この時点では、まだ固まっていないのでフレッシュコンクリート、直訳して"生コン"です。生コンを現場に運ぶための車両がミキサー車、ミキサー車のあのドラムは、固まらないようにひっくり返してるだけですので、現場ではアレをミキサー車とは呼ばず、単に生コン車、と言ったりします。正式名称はトラックアジテータです。

トラックミキサ - Wikipedia

さて、生コン車で現場まで持ってきた生コンを、ここいらで説明した「型枠」に入れて、固まるのを待って「型枠」から外したらできあがり、なわけですが、この「型枠」に入れる作業が大変なわけですよ。なんせ、生コン車1台に入る生コンがだいたい4立米、重さにしたら9tとかあるわけですから、手で運ぼうったってそうはいきません。クレーン?そう、少量であれば大きな容器に入れて、クレーンでつり上げてやればいいのですが、大量のコンクリートを運ばなければならないときには向きません。

スガキカイ:土木・環境事業:土木工事|製品情報:コンクリート・バケット←クレーンで吊るときには、こんなのを使います。

さて、そこで登場するのが、今回注目を浴びているポンプ車、であるわけです。現場に着いた生コン車は、ポンプ車のおしりについたバケットに直接生コンを流し込みます。おしりからおしりへ、生コンを受け渡すわけですね。バケットに卸された生コンは、ポンプ車に搭載されたポンプへと吸い込まれ、押し出されるわけです*3。で、ブーム(アームとはあんまり言わないです)に取り付けられた管の中を通って、先っちょから出る、というわけです。

生コン車からポンプ車に生コンをおろしているところ。

あ、これの方がでかいじゃん。

でも、58mより高いところって、どうやって打つの?

いい質問ですね。新聞記事を見て不思議に思った方もいるのではないでしょうか。

実を言うと、58mと言わず、30mを越えるような、一般的なポンプ車のブームが届かない高層部を打設するのに、ブームは使用しません。つまり、今回原発で使用している58mブームを「高層建築物の打設に使う」と書いてある新聞記事は、あまり正確ではないということです。

じゃあ、超高層建築なんかのコンクリート打設はどうするの?

実は、ポンプ車のおしりには、バケットとは別に穴があり、ここからも生コンを押し出すことができるのです。ここに、太いパイプをつないでやり、建物に沿って上に向かって配管してやることで、高層階まで生コンを送り届ける道を作ってやるわけです。

こうやってつなぐ。
泉北近圧ポンプの『現場レポート』 ビルの谷間で,超高圧配管車が活躍

ブーム工法と配管工法の説明。
[コンクリート圧送工事業とは?] 一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会

じゃあ、ブームいらないじゃん!

その通り。いや、広い範囲を打設する時や、低層の建物の打設には、取り回しのきくブームは非常に便利です。しかし一方で、実際に、ブームのないポンプ車もたくさんありますし、こうした配管専用の車両に積まれているポンプは、ブーム車よりも強力であったりします。

近所で建築工事をやっているのに、あんなブームが伸びてるのを見たことがない!とおっしゃる方。むしろ大きな超高層ビルの現場に見に行くよりも、少し小さな、4〜6階建のマンションの現場などを見に行ってみてください。きっと、ブーム式ポンプ車が活躍しているところを見ることができるはずですよ。

*1:生コンを流し込む作業をこういいます。本当は、生コンは「流し」たりすると砂利などが分離して、良くないのです。単に、「打つ」とも言います

*2:現場に着いたときにはすでに混ぜられている、という意味です。そのまんまですみません

*3:ポンプには大別して、ピストン式とスクイズ式があるのですが、割愛します。ここらでも読んでください