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残業について押さえておきたいふたつのポイント

雑感

残業について思うところをまとめておきたいと思ったりする。建築に関係ないこと書いてもあんまりみんな喜ばないことは重々承知しちゃいるんだけど、建設業は他の産業と比べても飛びぬけて残業が多い業界だから、まあ、ちょっと我慢して読んで欲しい。


はてブとかtwitterとか見てると、よく残業自体が悪であるかのように語る人がいるけれど、それほど単純にずばっとさっくり言い切れるものではないと思うんですよ。そもそも、一つの会社の中で一日にこなさなくちゃならない仕事の総量と、その会社の従業員が一日にできる仕事の総量がぴったりかっちり一致して、しかもそれが毎日続くなんてことは、常識的に考えてありえないんだし。

とはいえ、仕事の量を従業員の数に合わせるというのも、このご時世(でなくても)なかなかに難しい話。会社にまずできることは、逆に従業員の数を仕事に合わせる、すなわち、忙しいときには中途採用でもなんでもいいから人を入れ、暇になればすぐにクビにする、ってなことだと思う。そういう不安定な雇用環境がいいの?それとも残業してでも安定してたほうがいい?と聞かれたら、・・・うーん、残業かな?と答える人が(少なくとも今の日本では)多いんだと思う。

要するに、残業と雇用の安定(つまり、簡単にはクビにならないこと)とは、交換条件として考えなきゃいけない。逆に言えば、雇用を安定させる気がないのに残業が多いというのは、会社に残業を減らそうという気がないか、採用の仕方が下手なんだといえるかも。安定的な雇用ができない小さな会社のほうが、うまくやれば残業は減らせる、というのはさすがに言い過ぎだと思うけどね。


こんな風にに書くと、雇用を重視しすぎる日本型雇用こそが諸悪の根元だ!という人もたくさんいるんだろう。だが、少し待って欲しい(キリッ

再三再四書いてきたけど、日本型の会社が雇用を守れるのは、仕事(ジョブ)の内容をはっきりさせないで、要は何をさせてもいいような条件で雇用してる(メンバーシップ型雇用)からなんだ。これに対して欧米型は仕事内容を限定するジョブ型雇用、とまあ、ざっくり言えるわけだ。

ジョブを固定された欧米においては、ジョブが異なる隣の人を手伝うことは、契約外の労働であり、賃金が払われるかどうかも怪しい(のかどうか知らないけど、気持ちとしては多分そう)。海外企業で、同僚が残業していても自分は帰るという光景が日常的であるというのは、職場の雰囲気がいいというよりも(いや、いいところが多いのかもしれないけど)、労働契約のあり方が違うからだと思ったほうが、たぶんいい。

一方で、雇用を重視する日本では、バーターとして残業が多くなることは、上で見たとおり。けれども、雇用で対応できない、あるいはしない場合の仕事の増減への対応として、ジョブを限定されていない日本の労働者は、隣の人の仕事を手伝ってあげることとかができるというか、せざるを得ないわけであり、一人当たりの残業の量は平準化されるはずだよね。特定の人が、極端に長い時間、残業をしなくちゃいけないという事態は、海外よりもむしろ少なくなるはず。


まあ、そうはいっても、日本の残業風景を眺めていると、上で書いたようないい面というのはほとんど見えない状況にあるのは確か。でも、私思うに、日本のやり方が絶対的に悪いわけじゃなく、今のシステムもきっちり運用されれば、雇用の安定とか、従業員間の平準化とか、いい面、あるいはよくなる可能性がある面があるのだと。それが現実にうまくいってないのは、会社も、はたらく私たちの側も、今の制度のいいところをつぶしちゃうような考え方や行動をしている部分があるからだと思うわけなんですよ。

本音と建前と言いますが、残業については、ネット上で本音でものをいう機会が増えています。けれど、意外に建前がどこにあるのか、というのがわかりにくいと思うので、次のエントリでは、今の日本における残業の建前とは何か、について書きたいと思っています。建前があってこそ、本音との乖離を修正することができると思うので。