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「ばっちゃが言ってた」から抜け出すのは結構むずかしい

建築

「日当たり」についてよくある誤解2(日当たりが良いってどういうこと?) - 不動産屋のラノベ読み

勝手に補足。例によって、非常に乱暴かつおおざっぱな話なのと、全然補足じゃなくて違う方向に行っちゃったかもしれない点は、ご勘弁。

まず言っておきたいのは、南向きの部屋にメリットがないというわけではないということ。

下のグラフは、夏至の日の東西南北および屋根面への日射量を表しています。夏の日差しは、その多くが屋根面に降り注ぎ、南面は、東西面よりも日射量が少ないことがわかります。id:toaruRさんが、ブコメでおっしゃっているとおり。一方で冬至には太陽の南中高度が低くなるので、南面は他のどの面よりも日射量が多くなる。窓からガラスを透過して室内に入った日射は床などを暖めるので、つまるところ、南向きの部屋は、冬暖かく夏涼しいといえるわけであり、これは年間の冷暖房代に当然大きく影響してくるところです。


やっぱりそうか、と思った方はちょいとお待ちを。

逆に言えば、南向きの部屋がはっきりと、直接的に有利であるという点は、以上でほとんど全てなんじゃないかと思っちゃったりする。もちろん、他にも有利な点はあるけれど、そういったものは、せいぜい副次的な要因であったり、ケースバイケースであったりして、つまり「なんとかなる」。カビが生えるのであれば断熱を徹底して水蒸気を断ち、明るさは照明器具で、洗濯物が干したければ乾燥機で、風通し風通しというけど、機械換気があるじゃない、と。気密性、断熱性、冷暖房換気照明給排水設備などなどの性能が格段に向上してきたおかげで、かなり乱暴な言い方だけど、住環境を外界から隔絶して意のままにコントロールできるようになってきつつあるわけだ。

こうした事情を背景として、「部屋は南向きがよい」という命題は、今でも有効ではあるのだけれど、その重要性は相対的に、徐々に下がってきていると言えるのではないだろうか。


さて、それはそれとして、格段に向上した住宅の性能に、住まい手である我々がついていけているかという問題は残るのですよ。最近、こんな記事がありました。

ページが見つかりません - MSN産経ニュース
経産省は「商品の欠陥ではなく、消費者の誤使用が主な原因の珍しいケース」と指摘している。

従来のガスコンロと使い勝手の似ているIH調理器。しかし似てはいても違うものであるがために事故が起こる。コンロに限らず住宅全体も同様で、たとえば事故までいかなくとも、高断熱高気密の住宅に住みながら、いつも窓を開けて生活しているなんて人、あるいは24時間換気のスイッチを小まめに切ったりする人は、かなりの割合で存在するはずです。

「高度に発達した生活習慣は、宗教と見分けがつかない」とは私が今考えた言葉だけれど、住宅にあわせて生活習慣を、大げさに言えば文化を変えるということは、それほど簡単じゃないと思うのです。性能の向上を追い求めることは大事だけれど、場合によっては住まい手の生活習慣に擦り寄っていくこともひつようであり、望むらくは、擦り寄りつつ技術を発達させることだと思うのです。

「南向きの部屋がいいって、ばっちゃが言ってた。」

ばっちゃが言うんなら、仕方ない。