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建築基準法違反を「どうでもいい違法行為」という奴は

コンプライアンスと法令遵守 - 池田信夫 blog(旧館)
なるほど、この人のサイト、大人気な理由がわかったよ。ダメすぎる。

建築確認は木造の建物の安全性を確認するためにできた制度で、現在の複雑な建築物の耐震性を図面だけで確認することはできない。実際の問題の大部分は、手抜き工事などの施工段階で起こるからだ。

建築基準法が成立したのは昭和25年。戦後復興でバンバン住宅が建ってるなかで、一般の木造住宅すべてに建築確認申請なんて求めたら、お役所は0.2秒でパンクするだろうが。普通の木造戸建住宅は、今も昔も建築確認不要。計算のいらない「仕様規定」さえ満たせば*1建てていい。大きくて複雑な建築物をどうしても建てたい、って人は、構造計算書をちゃんと作って、お役所に届けようね!ってのが、建築基準法の基本的な考え方。それにしても、図面だけで建築確認審査をしていると思ってたのか?*2

建築基準法第六条 (建築物の建築等に関する申請及び確認)
建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(略)確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(略)
一  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
二  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
三  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

いわゆる「既存不適格」の建物を使用禁止にできないのは、財産権と、法の不遡及に反するから。土建屋にこんなこと説明させるなよ。Wikipediaに項目があるので、詳しくはそちらで。

姉歯元建築士の設計した建物は「震度5で倒壊する」とされて取り壊されたが、同じ論法でいけば、1981年の建築基準法改正以前の建物は、みんな取り壊さなければならない。しかし役所もメディアも、それは問題にしない。震度5でコンクリートの建物が倒壊した事件はほとんどないからだ。

さらにこいつ、姉歯の事件の背景も全然わかっていないことに驚きを禁じ得ない。民間企業が建築確認・検査を代行できるようになったのが平成10年。ようやく軌道に乗り始めたと思った矢先の姉歯事件(平成17年)の裏切りだった。そもそも、建築基準法は最低基準しか示していない。前述のとおり、国民の権利と国民の生命、どちらが大事?の板ばさみ状態だから仕方がない話であり、その最低基準を悪意を持って破ろうというような奴は、ほとんどいなかったはず。いたら、民間が代行するなんて話にはたどり着かないだろうから、これは強く言える。しかし、姉歯は、この最低基準さえも守らなかったんだ。

それは、決して「どうでもいい違法行為」などではない。この「最低基準」は、阪神大震災という大きな犠牲を払って、妥当性が検証されたものなのだから。これを「どうでもいい」扱いすることは、ここで散々非難されている、村山元首相をはるかに下回る、人外の発言といえる。1981年の建築基準法以前の既存不適格の問題については、メディアもかなり取り上げているし、当サイトでも、賃貸探しで不動産屋さんを攻めるたった一つのポイント - concretismをはじめ、何度も取り上げている。

法的には建築物の耐震改修の促進に関する法律とか出すのが精一杯だろう。この法律の腰が引けてるところを取り上げて、財政政策*3を兼ねて耐震補強の義務化を唱える、というのなら、経済学者として妥当な意見だと思うがな。

とにかく、たわごとは人の命が関わらないところで言ってほしい。

*1:もちろん、仕様規定は安全を十分に見込んで決めてある。お金がかかって嫌だという人は、構造計算して建築確認を受ければいいだけの話。

*2:この人の普段接している官僚が、建築確認審査をしていると思っているのだろうか?建築主事は技術官僚だし、それなりの規模・複雑さ建物になれば、[http://www.j-eri.co.jp/gyoumu/gyo04_i.html:title=評定]も受けなければならない。ちなみに、委員は大学の建築学の先生とか。

*3:[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E6%91%A9%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%B3:title]や[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E9%87%8C%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%B3:title]なんて既存不適格だらけ。しかし、住人は老人ばかり。彼らから住処を奪うわけにはいかないというのが、官僚立法の限界だろう。これを国の資金で耐震補強することは、道路を作るよりも国民の理解を得られるんじゃないかね。