建築と土木のちがいについて

「住宅都市整理公団」別棟 : 大橋ジャンクション再び
こちらの記事のブクマに、「建築」タグが付きまくっている件について。

鉄筋に夢中。たしかにこれはすごい鉄筋。建築の世界ではあり得ない。土木、ちょうかっこいい。

って書いてあるだろ!筆者の意向を無視するなよー。D22,D10@150,100くらいの配筋、建築にだってあるさ!とかは置いといて。

先日後輩に「建築と土木の違いって、何なんっすか?」って聞かれてショックだったこともあって、まとめておく。といっても土木のことは良く知らないので、建築とは何か、に偏った話になることをあらかじめお断りしておきます。

建築(けんちく)とは、人間が活動するための空間を内部に持った構造物を、計画、設計、施工そして使用するに至るまでの行為の過程全体、あるいは一部のこと。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

うん、よくまとまってる。Wikipediaさすが。って、5年位前の俺が書いた定義をもとにしているので、ソースとしては弱いですな。しかし、ポイントは「人間が活動するための空間を内部に持った構造物」のところ*1。中に人間が入ること、そして活動することを目的として作られているのが建築。

そうすると、たとえばトンネル歩道なんかは、建築に入ってしまいそう。でも、ただ通るだけってのは、ここでいう「活動」としてはちょっとなー・・・。というのと、トンネルは最初から「屋根」に相当する部分が架かってるというところでNG。

建築基準法第二条第一項では、こう定義している。

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

お役所的な見方をすれば、建築基準法が適用されるものが建築。このうち、誰から見ても建築だ!と言えるのは「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)」だけかな。あとはちょっとグレーなんで、わざわざゴニョゴニョ書いてある。

つまり、屋根、的なものが建築のマストアイテムであって、これを人為的に作ってやらなきゃいけない。だから、建築史は、洞穴から出て竪穴式住居を作るところから始まる。

じゃあ、練習問題。橋の下に作ったダンボールハウスは建築だろうか?

橋は、上部に人や物を乗せて通すことが目的で作られたもので、下部に空間ができるのは結果に過ぎないよね。上で引用した建築基準法で、「高架の工作物内・・・」とわざわざ書いてあるのは、この意味で厳密には建築と見なされないことを危惧したせいなんだろう。

じゃあ、ダンボールハウスに目を移そう。これは材料はダンボールであるものの、ちゃんと屋根を作ってるから建築と呼びたい。でも、法的に微妙なのは、土地に定着してると言えるかというところ。定着していたら違法建築ってことになってしまう可能性が高いので、作った本人は「定着してない!」と言い張るでしょうな。ちなみに、よく言われることだけど、古いバスなんか置いて、教室だとか飲食店とかに使ってるケース、あれは建築と見なすって判例が出てます。建築士の問題によく出る、いやよく出てた。そうでないとアメリカからモービルホームを輸入したらとか、そもそも日本の神社は古くは現在の神輿のように・・・とか、長くなるのでやめる。

ということで、答えは「微妙」(コラ

しかし、なんとなく、建築とは何かってのがわかっていただけたのではないだろうか。当然、土木とは何か、という話も必要になるんだけど、Wikipediaでは、土木は土木工学に転送されちゃってよくわからない。工作物、構造物、建設されるもののうち、建築を除くもの、じゃ乱暴すぎると思うので、詳しい人教えてください。

あとぜんぜん違う話だけど、個人的に一言。建築はサ変動詞にはならないと思う。建築という言葉が指すものは、建築物であったり建築行為であったりと揺らぎがあるし、またあってもいいと思ってるのだけど、「建築する」とは言わない。ニュースでも「建築する」と言ってることがよくあって、強い違和感をおぼえるのだけど、そういう場合の正しい言葉は「建設する」。どうしても建築を土木と区別したいなら「建築を施工する」かな。区別したいと思ってるようには見えないけど。

*1:このエントリ書く際に、「ための」を追記しました。