誰も得しない話

建築基準法が改正になって以来、建物の設計を途中で変更するということが、たいへん敷居の高い行為になってしまいました。これまでお役所にたいしては、完成した後に「こことここを変えました」と言えばよかったものが、事前に「こことここを変えます」と言わなければならなくなってしまった、と思っていただければよろしいかと。

私の仕事は、設計図をもらって、その通りの建物をつくることです。しかし、設計図を見てよく考えてみると、「ここの形を変えたら、もっと安く、早くできるんじゃね?」ということは珍しいことではありません。

例えば、1000万円安く、2週間早くつくれる方法を思いついたとしましょう。もちろん、お客さんは喜びます。しかし、そのためには設計変更が必要なのでお役所に審査してもらわなければなりません。

役所「審査には4週間かかります」
お客さん「それでも、1000万円安くなるんでしょ?」
建設会社「そのかわり4ー2=2週間工期が余計にかかりますよ」
お客さん「えー。2週間も操業開始が遅れたら、1000万円以上損しちゃうよ」
建設会社「じゃあ、やめときましょう」

こうして、せっかくのアイデアは闇に葬られ、お金と時間と資源が浪費されていくわけです。