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不快!家の寿命に関係しないコンクリート強度とは

毎日.jpに、大きな釣り針がぶら下がっていたので、徹底的に釣られてみたいと思います。

マンションの耐震強度偽装問題では全く問題にならなかったのが「コンクリート強度」です。念のために、柱や梁からコア(強度を調べるためのサンプル)を抜いて調査したようですが、問題なく強度を発現していたとの報道が、当時もちゃんとされていました。毎日では報道しなかったのでしょうか?ちなみにコンクリートの強度とは、コンクリートの強さのことです。誤解しようがないですね。

もし、あなたが「コンクリート強度」が一般的な住宅にあまり関係がないと考えているなら、正解です。なぜかというと、住宅、特に木造住宅というのは全体の重量が、たとえば一般的なビルなどと比べて非常に小さいので、その基礎に使われているコンクリートが、ちゃんと建築基準法に従ってJIS適合品であることが確認できているならば、よほどのことがない限り十分すぎるほどの強度が出ていることが予想できるからです。それでも心配なあなたは、近所のコンクリート工場から個人的な恨みを買った覚えでもあるのでしょうか?それにしても、世の中のコンクリートがどれも同じだなんて思っている読者の方は少ないはずです。毎日とAll Aboutは読者を馬鹿にしているのかなぁ、と思いつつ、今回は、住宅を支えるコンクリート強度について考えていきましょう。

■コンクリートの強度には2種類ある!

コンクリートの強度といった場合、コンクリートにかかる荷重の種類に応じて、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、せん断強度などがありますが、圧縮強度がわかれば、他の強度についてはこれまでのデータをもとに予測できるので、材料としてのコンクリートの性質を代表させるには、圧縮強度を調べれば十分であるとされています。決して、話を単純化してわかりやすくするためではありません。

コンクリートの「圧縮強度」は、コンクリートの供試体(テストピースとも言います)に力をかけ、平方ミリメートルあたりどの位の力に耐えられるかで計測します。

 ところが、このコンクリートの「圧縮強度」には、構造設計で想定された強度である「設計基準強度」と、構造体としてのコンクリートが耐久性、耐候性を得るための「耐久設計基準強度」、これらの強度が構造体の中で確実に発現しているためには管理材齢において供試体がどれだけの強度が出ていなければならないか、を示すために設計基準強度と耐久設計基準強度の大きいほうに、供試体が養生の状態が良さを考慮して割増ΔFを加えた「品質基準強度」、これに打設時の気温による補正値を加え、発注時に用いる調合に固有の値である「呼び強度」、20度の水中で管理材齢まで養生したときに、品質のばらつきを考慮してもほぼ間違いなく呼び強度が出るように統計学に基づき割り増しを行った「調合強度」、と、一般的な強度のコンクリートで必ず考えなければいけない強度だけでも6種類ほどありますね。設計者、施工者、コンクリート製造者がそれぞれ必ず考えなければいけない値ですので、どれが「よく使う」なんてのはありません。

■固まっていないコンクリートもコンクリート

固まっていないコンクリートは生コンクリート、もしくは「フレッシュコンクリート」です。レディミクストコンクリートというのは、読んで字の如く、すでに練り混ぜられたコンクリートのこと、つまりコンクリート工場(プラントともいいます)で、練り混ぜられた状態で出荷、納品されるコンクリートのことを、現場で練り混ぜるコンクリートと区別して呼ぶ言い方です。

そして、『生コンの強度のことを「呼び強度」といい、固まった状態のコンクリートの強度のことを「設計基準強度」といいます。』なんてのは、先ほどくどくどと説明したので繰り返しませんが、なんじゃそりゃ、ってくらい間違っていることがわかるでしょう。

■コンクリートは固まるのに時間がかかる

コンクリートの強度の発現の仕方は、水とセメントの比や、それ以外に入れられた混和材料、入ってしまった不純物、骨材と呼ばれる砂利や砂の性質、そして何よりセメントの種類に左右されます。それぞれに応じた管理材齢を定めてやる必要がありますが、住宅の基礎に使われるのは普通ポルトランドセメントであり、設計基準強度も24N/mm2程度ですので、28日が適当であることに異論はありません。ただ、硬化力という言葉は初めて聞きました。うちのIMEに変な言葉を教えないでください。

温度補正の話はもうしましたが、あくまでも加算値ですので、元の値が違えばいろいろと変わってきます。住宅金融公庫の融資基準はあんまり知りませんので調べてください。あと、品確法、住宅品質確保の促進等に関する法律あたり。凍結融解に対する・・・とかいろいろあって、性能表示制度によるランクづけに関わってくるはず。

■個々の住宅で求められる強度は異なる

さて、だんだん突っ込むのも疲れてきたけど、まだ間違ってるとこあるなぁ。

24N/mm2の場合、大規模補修不要予定期間は65年〜ってのは、「耐久設計基準強度」ね。呼び強度からは温度補正とΔF引かないと。もちろん、耐久設計基準強度より設計基準強度のほうが高い場合はさらにもうちょい引かなくてはいけません。

さて、ここからが一番大事なところですが、住宅のコンクリート基礎の品質を心配するのであれば、その対象コンクリートの材料自体ではないというのは冒頭に言ったとおりです。せいぜい納入伝票にJISマーク(新しくなったよね)が入っていて、21-15-20N程度(いちばん左の21が「呼び強度」だ)の調合であれば、材料としてのコンクリートが原因となって起こる問題というのはほとんど起こらないだろうと思います。

ただし、戸建住宅の基礎というのは、極めて薄い上に、土に接するという悪条件下にあるので、かぶり厚はしっかり取っておかないと後々大きな問題になりかねません。かぶり厚というのは、鉄筋の表面からコンクリートの表面までの距離。要するに、鉄筋がどれだけ深くもぐっているか、ということです。かぶり厚が小さいと、コンクリートと鉄筋が一体になっていないので構造的に弱い。さらにコンクリートが割れやすく、また割れたときに害が鉄筋に及びやすく、悪くするとコンクリートの表面が剥がれ落ちてしまう。原因は、酸性雨や排ガスによって本来アルカリ性であるコンクリートが中性になってしまって鉄筋に錆が生じること、地面から上がってきた水分がコンクリートの微細なひび割れに入り込み、凍ったり溶けたりすることでひびを広げること、そして強度不足によって基礎全体に剛性が足りないこと、などが考えられます。

かぶり厚を大きく取るためには、基礎の断面を大きくする(起訴の表面をふかす)のが手っ取り早いですが、もとより丁寧な工事を行えばよいだけのことです。住宅を購入された方にできることとしては、コンクリートの打設後一週間ほどの間、コンクリートに水をまくというのは、ひび割れ防止に非常に有効です。お花に水をあげるように、コンクリートに水をあげてください。

あと、打設後すぐに型枠を外すとひび割れの原因になります。また、強度も出にくくなるので、それこそ一週間くらいは型枠をつけたままにしておくことをお勧めします。


「専門知識のない一般人」と言い方には、自分が専門家であるかのような印象を与えます。いくら一般人は知らなくてもいい、という論旨であるにしても、間違ったことを書くことには感心できません。毎日新聞社も、自社で妥当性が判断できないのであれば、しかるべきところに査読に出す、もとい、しかるべきところに原稿を依頼するべきであると、私は思います。