優れた建築家ほど,現場での変更が早い

優れた建築家ほど,現場での変更が多い
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20061101/252440/


喧嘩売っとんのか。


建築の話はダシに過ぎないことはわかっている。しかし、このコラムは、システム設計の要求条件という本題から見ても間違った方向に向かっているのではないかと、お節介な心配をさせられてしまう。


建築の話に限って言えば、現場で設計変更されることに対するメリットは全くない。

 「優れた建築家ほど,現場での変更が多い」

この主張は、妄言であると言い切ることができる。


そもそも、着工前に設計内容が「建築確認申請」という形で審査される建築の世界では、現場での設計変更は原則として違法である。また、この着工前の設計図書をもとに、積算・見積もりされて、はじき出された工事金額も、変更を行えば当然変わる。これはクライアントに対する裏切りであると言わざるを得ない。


現場での変更は、法的にも倫理的にも、決して誉められた行為ではないのだ。


設計の時点でいかに正確に完成形を見通すことができるか。経験と想像力によってなされるそれは、建築家の職能のひとつだ。できあがった、あるいはできあがりつつあるものを見て、どうこういうのは建築家の仕事ではない。評論家の仕事である。


このコラムを「要求定義の現場」と銘打つには、要求がどこから発生しているのかを明らかにしておくことが不可欠と思われる。

しかし,ものづくりでは,設計の段階でユーザーの要求を漏れなく盛り込めるわけではない。

ここでは、あくまでも「ユーザー」の要求であって、「クライアント」の要求ではないということに注目しなければならない。「ユーザー」は、金を出さない。コスト面についての議論が完全に抜け落ちてしまっているのが、このコラムを崩壊に導いている原因だ。

幅広い音楽ジャンルで活動しレコーディング・スタジオの設計・建設でも活躍されているミキシング・エンジニアの赤川新一氏


さらに、このコラムでは、赤川氏をあたかも「設計者」であるかのように書いてミスリードしている。推察するに、赤川氏の立場は建築の現場においてはアドバイザリースタッフ的な位置づけであり、限りなく「ユーザー」と言っていいものである。


建築は、非常に大きな額のマネーが動くビジネスだ。その中でも、スタジオなどの遮音、反響を目的とする室は、特殊な材料を用いるため、コスト面での負担が特に大きい部分である。手戻り工事など起こそうものなら、数百、いや数千万以上の余分なカネが発生する。


このコラムにあえて建築の話を持ち出そうというのであれば、かくなる現実を踏まえたものでなければならないだろう。


現場で変更してはいけないと言っているのではない。少ないに越したことはないといいたいのだ。現場は常に動いている。クライアントから、ユーザーからの要求と、明らかなソゴが生じているというのに手をこまねいていて良いはずはない。自らの説明責任を果たした上で、速やかに変更するのはプロとしての責務である。


「優れた建築家ほど,現場での変更が早い」


これの聞きまちがいじゃねーの?